ウェブトゥーンはその独自のフォーマットと視覚的な魅力から、世界中で多くの読者を魅了しています。また、ウェブトゥーンの制作は基本的に一人のに翻訳者よって完成されることが多く、そのために翻訳者の個性が作品全体に反映されています。しかし、その翻訳には特有の難しさがあります。本記事では、ウェブトゥーン翻訳を成功に導くための7つの実践的なテクニックを解説します。翻訳者としてのスキルを向上させ、読者により親しみやすい作品を届けるためのヒントをお届けします。

まずはじっくり作品を味わおう
翻訳を始める前に、まずその作品を徹底的に味わうことが大切です。作品の翻訳はただの言葉の置き換えではなく、作者が伝えようとした意図やキャラクターの心情、文化的な背景を理解することが重要です。以下のポイントを抑えながら、作品を読み込みましょう。
作者の意図を理解する
作品全体を通じて、作者がどのようなメッセージを伝えたいのかを考えます。ストーリーのテーマやキャラクターの成長を追いながら、作者が意図する深い意味や背景を探ります。
例えば、登場人物のセリフの言い回しや表現に込められた感情を読み取ることで、原作の本質的な意図を汲み取ることができます。
登場人物の性格や特徴を把握する
キャラクターが話す言葉や行動は、その人物の性格や立場に大きく影響されます。彼らの口調、話し方、選ぶ言葉などに注意を払い、翻訳時にその特徴が失われないように心掛けましょう。
例えば、年齢や職業によってセリフのトーンが変わることが多いため、キャラクターごとの特徴を意識して訳出することが必要です。
文化的な背景を理解する
作品が描かれる文化的背景や社会的な状況を理解することで、セリフや状況に込められた意味を正しく捉えられます。韓国のウェブトゥーンの場合、独自の文化や言葉の使い方が反映されていることが多いため、翻訳時にその背景を正確に伝えることが求められます。
例えば、韓国語のスラングや日常的な表現には、韓国社会特有の価値観や感覚が反映されています。これを日本語に訳す際には、読者が違和感なく理解できるように工夫が必要です。
ストーリーの流れとテンポを把握する
ウェブトゥーンは絵とセリフが密接に関連しているため、ストーリーの進行やテンポが非常に重要です。キャラクター同士の会話がテンポよく進んでいく場合、それに合わせた翻訳が必要になります。
また、ウェブトゥーン特有の効果音や擬音語もストーリーの雰囲気を作る要素です。これらを翻訳する際にも、そのニュアンスをしっかりと捉え、原作のテンポ感を大切にしましょう。
言葉遣いに注意を払う
言葉遣いは登場人物の個性を反映する重要な要素です。特にウェブトゥーンでは、登場人物が多くの感情をストレートに表現するため、言葉遣いがストーリーの進行に強い影響を与えます。
例えば、カジュアルな言葉遣いとフォーマルな言葉遣いが混在していることが多いので、そのバランスを考えながら翻訳することが求められます。
翻訳作業を始めよう
作品をじっくり読んだら、翻訳作業を始めていきます。翻訳をする時は以下のことに注意して翻訳を行っていくと効果的です。
キャラクター表を作る
キャラクターごとの口調や話し方を一貫して翻訳することは、物語全体の説得力を高める上で重要です。
そのため、翻訳作業の前にキャラクター表を作成しておきましょう。
キャラクター表の内容例
名前
性格、年齢、属性
話し方の特徴(敬語、くだけた言葉など)
特定の口癖や使用頻度の高い表現
ローカライズの検討
作品の舞台や登場人物の名前を、翻訳先の文化や読者層に合わせて変更することをローカライズと呼びます。絶対に必要というものではありませんが、作品の親しみやすさを高める場合には効果的でウェブトーンではよく見られます。

ローカライズの例
登場人物の名前を日本語風に変える
韓国の地名や店舗名を日本の地名やチェーン店に変更
ソウルにある「弘大(ホンデ)」という地名をそのまま使うと分かりづらい場合、日本の「渋谷」に置き換えることで、読者にとって親しみやすい表現にできます。
効果音(擬音・擬態語)の翻訳
ウェブトゥーンでは、効果音がシーンの雰囲気を高める重要な要素となっています。これを効果的に翻訳するためには、日本語特有の擬音・擬態語の豊富なバリエーションを活用することがポイントです。

効果音翻訳のコツ
韓国語の効果音を日本語の感覚に合わせて意訳する。
日韓のバラエティー番組の字幕を観察し、擬音表現のバリエーションを増やすと翻訳の際に役立ちます。
原文と到着語が1対1で対応しない場合の対処
韓国語と日本語は文法や表現の構造が異なるため、原文をそのまま訳すと不自然になる場合があります。そのような場合、ウェブトーンの場合は意訳を積極的に取り入れ、自然な文章に仕上げましょう。
ポイント
文脈やキャラクターの意図を優先する。
原文に固執せず、自然な日本語になるよう調整する。
吹き出しに入るように簡潔な翻訳を
ウェブトゥーンでは吹き出しに入るよう文章の長さを調節し、わかりやすく翻訳することが求められます。私の場合はまずは直訳し、それから削れるところ、意訳できるところがないかを見つけで文章を整えていきます。
下の例で見ていきましょう。

上司が部下に怒っているシーンです。
原文は 이 작업에 2시간이나 걸렸다고요?! 이 정도면 초등학생도 한 시간 만에 할 수 있을 텐데. です。
まずは直訳します。
この作業に2時間もかかったんですか!? この程度なら、小学生でも1時間でできるはずなのに。
長いしあまり自然な感じがしませんよね。なので、これをさらに整えていきます。
作業に2時間もかかったんですか!? 小学生でも1時間でできるわ。
文頭の「この」や「この程度は」なくても十分通じるので削ります。そして文末の「~できるはずなのに」より「できるわ」のほうが短く自然な感じになります。
このようにコンパクトに読者に読みやすく翻訳していきます。
書籍の翻訳に比べてウェブトーンや漫画の翻訳は意訳する部分が多くなる傾向にあります。
流行語を取り入れる
ウェブトゥーンでは、読者が登場人物に親近感を抱けるよう、流行語や日常会話で使われる表現を取り入れることが効果的です。特に若者をターゲットとする作品では、現代の言葉遣いやスラングを意識して翻訳すると、より自然で魅力的な仕上がりになります。
ポイント
流行語の意味を正確に理解し、適切な文脈で使用する。
日本語で同じニュアンスを持つ表現を選ぶ。
普段からYouTubeやSNSなどで若者が使う言葉に触れておくといいと思います。
ウェブトゥーンの翻訳では、単なる言葉の置き換えだけでなく、文化や文脈、キャラクターの個性を深く理解することが求められます。また、ウェブトゥーンは一人の翻訳者よって制作されること一般的なため、作家の意図やスタイルを尊重することも重要です。本記事で紹介した7つのポイントを実践することで、より魅力的な翻訳作品を生み出すことができるでしょう。
本日も最後までご覧いただきましてありがとうございました。




コメント